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OTONAMI BLOG

2022.12.28 クリスマスの夜

体調が完全復活していなかった今年のクリスマスはレオちゃんと2人静かなものでした。

「ロマンチックにするね」

と言うと、CDをセットして音楽をかけてくれるのですが、クリスマスの日のチョイスは「星になった犬」でした。

静かな部屋に小さな音で流れるその感じが、クリスマスの夜になんともあっていて、この歌が生まれた時の気持ちがふいに甦り、なんだかとても寂しいのにあたたかな気持ちに包まれた夜でした。

 

アルバム「PIECES 2」より先行してデジタル販売をしていた「この世が終わるその前に」が トルコのiTuneジャパニーズチャートで2位となりました。いっぱい聴いてくれてありがとうございます。

そして、カートのみオープンして商品の到着を待ちながら、先行して販売させていただいていたアルバム「この世が終わるその前に」も収録されている「PIECES 2」の発送がコキア印ではじまりました。お待たせしました!先にご注文いただいているお客様から順番に発送させていただいております。

 

そして、今度の金曜日、30日の日本時間20時に、またオフィシャルYoutube KOKIAチャンネルで無料コンサート視聴会を行います。

今回視聴するコンサートは2013年に行われたデビュー15周年のコンサート「COLOR OF LIFE」です。

視聴を行う前に2013年以降に私の歌に出会ったお客様にもちょっとだけ、その時の想いを綴った昔のブログはもう見られなくなってしまっているので、このコンサートについてお話しておきたいな。と思いました。

 

 

 

 

2013年、15周年のステージ「COLOR OF LIFE」のステージに立つ数ヶ月前、当時の私のマネージャーであった平野さんという方が亡くなりました。それは私にとってとても突然な出来事で、起こった事の事実に心や頭の整理が追いつかないまま、15周年という大舞台に立つことがとても不安で、コンサートを中止できないものか、検討したのを覚えています。

「このままではとても歌えない」いつもは指折り楽しみに待つコンサートへのカウントダウンが、まるで別の感覚で、ただ不安に飲み込まれそうだったのを覚えています。

 

話出すと、きっととても長くなってしまうし、うまく話せる気もしないのけど、この15周年のステージが私にとってとても特別な意味となったコンサートだったということはもう伝わったと思います。

10年経った今も、心の中に留まり続ける言葉やイメージを今度の30日に無料視聴会でコンサートを一緒に観てくれるお客様にも知っていてほしいなと思ったので、この事について触れるのはとても久しぶりですが、ここに書いてみようと思いました。

 

私にとって10年という月日やその間にあったたくさんの楽しい出来事が、彼が居なくなった。という心の穴を埋めたことは一度もありません。辛い出来事だったからと忘れようと思った事はなく、むしろ仕事でもプライベートでも、たくさんの事にずっとこの10年挑戦してこれたのは、大きく空いた心の穴から、新たに見えた景色を歌にしてみよう、その風景や感情に意味を見出そう、・・・そんな感じで、必死にやってきたら10年経ったというのが近い感じだと思います。

そうして経った月日、記憶の中の平野さんはいつまでも歳を取らずあの頃のまま、私はこの10年の間にいつの間にか、亡くなった時の彼の歳を上回ってしまいました。

 

15周年のステージで、「びーびー」と泣いてしまったこと、何を喋ったかとか、どんな風に歌ったのかということさえ、2時間近いステージをこなしたはずなのに、実はほとんど覚えていなくて、いくつかの瞬間を断片的にだけ、鮮明に覚えているのです。

その後10年間、このステージを振り返ってみたことはありません。ただなんとなく・・・、観れないでいました。

なぜ10年もの間、見なかったのか、はっきりとした理由を言い当てる言葉は見つからないのだけど、なんとなく、その扉を開くことができなかった。という感じのニュアンスが近いような気がしています。

 

文才がある人ならこの気持ちを何て書くのかな・・・?

 

言葉だけでは言い当てられないこの気持ちを音に手伝ってもらってどうにか伝えようとしているのが私の歌なのかもしれません。

言い当てられない気持ちは音楽との相性がとてもいいようにいつも思うのです。

 

この事に触れたことはこれまでなかったと思うのですが、私が平野さんとの別れに、他の友人や家族との別れよりも特別な感覚があることの理由の一つに、私の目の前で息を引き取ったから。ということがあります。

最後の時、何もできない自分の無力さと、あまりに荷の重い状況に完全に困惑し、身体中が震えて息が吸えなくなるほど嗚咽して、半分意識が遠のいていくような感じがしたことを覚えています。目の前で起きている事への理解が追いつかない感覚。

それからずっと目をつぶると浮かんでくるその場面を回想しては、人の死を以前よりも考えるようになりました。

とても難しいこの問いの答えを求めて迷子になってしまったり、とても怖くなる時もあります。

でも、ぐるりと周っていつも戻ってくるのは、私に残された時間をどう過ごすか?ということ。

 

先に逝った人達は、先に生きた人達。

つまり「先生」なのだと。

これもまた先に逝ってしまった友人が、平野さんが亡くなった後に私を激励するために残してくれた言葉です。

ただ悲しむのではなく、この人の生き方、背中を見て、そこからあなたは何を学んで、どう生きてゆくのか?

この言葉はどんなに励まされてもなかなか前向きな気持ちになれなかった私の目を開かせた言葉でした。

それから10年、ステージに立つ度、私をいつも袖からステージに送り出してくれていた平野さんに「今日のステージも良かったね」と言ってもらえるようなコンサートをやりたい。と、いつも頑張ってきたつもりです。

お客様が下さる大きな拍手は、なぜか平野さんにも届いているような気がしていて、頭を下げ、拍手をいただいている間はよく、「この拍手が聞こえますか?」と、何とも言えない気持ちに包まれます。そんな事もあってか、この10年はめっきり涙腺が弱くなってしいまいました。

 

 

不安に飲み込まれそうになったり、頑張ろうと思ったり、波のように続いてゆく感情の海の天候はとても不安定です。

見えているのに絶対に縮まることのない月を目指して、大海原を漕ぎ続けるような航海も時々疲れてしまったり。

でも、どこかで誰かも同じように月を見上げて、大海原を航海しているのだろうと想像すると、私も頑張ろう。と、どこからともなく力がみなぎってくるのを感じます。

 

私の人生、思いも寄らないことが起きる度、理不尽だなぁっと思うことが起きる度、助けてくれたのは音楽でした。

そんな優しい音の魔法をみんなにも届けたい。知らせたい。

そんな想いで歌っています。

 

話がとてもとても長くなってしまったのですが、今度の30日に一緒に観る15周年のコンサート「COLOR OF LIFE」は、一度は中止も考えたほど、どん底の状態で行われたコンサートだったのですが、終わってみて思ったのは「やってよかった!」ということ。そして、実際に、とても素敵なコンサートだったということ。

むしろ、あの時の体験が「この先、どんなことがあっても歌ってゆこう」と、私に決意をさせたステージでもあった為、あの日の想いが、今度の春に迎える25周年という節目につながってゆくのかと、とても感慨深いのです。

「とても歌えない。」と思ったあの日から10年。

私の歌を好きだと言って、聴いてくれる全ての人に、歌の中に込められている大事な成分の一つを知ってほしかったんだと思います。

 

 

KOKIAの話は重いなぁ・・・と思わせてしまっていたら、ごめんなさい。

そんなつもりはないのです。

きっと人生は順番こに、色んなことが色んな人に起きて、その度にびっくりさせられます。

その時、対処法を知らないと、しばらくの間ショックが続いてしまうんだと思うのですが、深い心の傷には、音の粒がよく効きます。

あなたの傷にはどんな音が効くのでしょうか?

あなたの心にはどんな音が響くのでしょうか?

私の歌のどれかが、お役にたてたら嬉しいです。

 

10年の間、お客様はもちろん、私の周りの友人、スタッフ、家族でさえ、ほとんどの人が平野さんのことを口にしませんでした。

それはきっと、私への配慮で、みんなの優しさだったのだと思うけれど、私はちょっとそれが寂しくて、不自然だなと感じていました。悲しいことに蓋をするのは私は嫌いです。

だから、30日の日も気をつかわないでくださいね!

 

 

長いお話、読んでくれてありがとう。

たまぁにこういう話、したくなる時があるみたい。

 

今日、書いていた曲。

なんとなく、歌詞を載せておきます。

 

 

 

コウカイの海で

小さなシミが私の中で 広がってゆく

小さなシロが私の中で 消えてゆく

この舟は流されてゆく あの月にはまだ届かない

 

果てない波は私の中で 続いてゆく

静かな闇が私を呑んで 溺れてく

この痛み知っていたなら 別の道を行けただろうか・・・

 

この世の醜いモノたちが輝きだす

痛みも汚れも 私をかたどっている

 

この舟は流されてゆく あの月にはまだ届かない

この歌はあなたの空に つながっている そう信じている

後悔はある 未練はない 寂しさ埋めた 音の粒が

私の全て 泡となって溶けてゆく

 

 

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